国際通貨基金(IMF)の加盟国に対し、出資額に応じて割り当てられる仮想通貨。主要な外貨準備資産である、金やドルの不足を補完するために1969年に創設された。貿易など実際の取引で使われる通貨ではなく、個人や企業が保有することはできない。IMF加盟国が通貨危機などに陥り、対外的な支払いに充てる外貨が不足したとき、自国が持つSDRを他の加盟国が持つ外貨に交換してもらうことができる。ただし、SDRを使用した国は、外貨を提供してくれた国に利子を払うように定められている。創設当初、1SDRの価値は金0.888671グラム=1ドルに固定されていたが、74年以降は複数の主要通貨の為替レートと構成比から算出する標準バスケット方式を用い、1日ごとに算出されている。15年12月7日時点での価値は1SDR=約1.38ドルで、同年の加盟国への割り当て総額は2040億SDR(約2800億ドル)にのぼる。SDRを構成する通貨は、通貨利用国の貿易量と取引の自由度を基準に採用される。74年には主要16通貨で構成されていたが、81年にドル、マルク(旧西ドイツ)、フラン、ポンド、円の5通貨に変更された。86年以降、5年に1度の頻度で構成通貨とその比率の見直しが行われることになり、ユーロ発足(99年)を経て01年からはドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨で構成されている。15年時点のSDR構成比率はドル41.9%、ユーロ37.4%、ポンド11.3%、円9.4%。15年11月30日に開かれたIMFの理事会では、16年10月から中国の人民元を新たに構成通貨に採用することが決定。新しい構成比率は、ドル41.73%、ユーロ30.93%、人民元10.92%、円8.33%、ポンド8.09%で、人民元は3番目の比率となる。