レセプトとは診療報酬明細書のことで、医療機関が医療行為に対して受け取る診療報酬を、市町村や健康保険組合などの保険者に請求するための書類。レセプト債とは、診療報酬の請求権を債券化した金融商品を指す。診療報酬は、一般に請求から支払いまで2カ月ほどかかるため、医療機関によっては資金繰りが困難になることがあり、その問題を解決するためにレセプト債が考案された。ファンドなどは、医療機関から診療報酬請求権を買い取り、あらかじめ利率や満期日を定めた債券を発行して投資家などに販売。購入者は毎年一定の利子を受け取り、満期日には額面額の償還金を受け取ることができるというしくみになっており、公的機関から確実に支払われる診療報酬を基に発行されるため、安全性が高いとされていた。運用会社のオプティファクター(本社・東京都品川区)や、同社が組成したファンド3社は、2004年からレセプト債を発行し、ファンドの販売窓口であるアーツ証券(本社・同中央区)をはじめ証券会社7社が販売してきた。しかし15年11月、オプティファクターとファンド3社が経営破綻(はたん)。同年10月末時点のレセプト債発行残高は約227億円に及び、約2400の法人や個人が購入していたが、多数の投資家が償還を受けられない可能性が高いと報じられた。証券取引等監視委員会はレセプト債の運用について調査を実施。調査の結果、同年11月、アーツ証券は、13年10月ごろから運用会社とファンドの経営破綻状況を知っていたにもかかわらず、レセプト債を販売していたとして、関東財務局から金融商品取引業の登録を取り消され、業務改善命令を受けた。また、16年2月には、オプティファクター社による資金の流用などが明らかになった。