日本郵政と、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険(いずれも本社・東京都千代田区)の郵政グループ3社が発行する株式。2015年11月4日に3社そろって東京証券取引所(東証)第1部に新規上場された。郵政事業を巡っては、小泉純一郎元首相時代の05年に郵政民営化法が成立し、07年10月、持ち株会社である日本郵政の下に子会社の日本郵便(本社・同)、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が入る日本郵政グループが発足した。民営化に伴い、政府が100%保有する日本郵政の株式と、日本郵政が持つゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式を上場して売り出す方針が定まったが、民主党に政権交代した後の09年に一時凍結。11年の東日本大震災後に、凍結を解除して売却益を復興財源に充てるべきという声が強まり、12年に成立した改正郵政民営化法で、日本郵政の株式は3分の2を、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式は全て売却することを目指すと決まった。上場では3社株の各11%が売り出され、1株当たりの売り出し価格は日本郵政が1400円、ゆうちょ銀行が1450円、かんぽ生命保険が2200円。初値はそれぞれ1631円、1680円、2929円と売り出し価格を上回り、3社合計の売り出し規模は1兆4000億円以上と、民営化企業としては1987年のNTT(2兆2000億円)、98年のNTTドコモ(2兆1000億円)に次ぐ規模となった。また、初値から計算した3社合計の時価総額は14~16兆円と推計され、NTT(約25兆円)に次ぐ大型上場となった。3社株は上場前から個人投資家を中心に人気を集め、上場初日の終値もそれぞれ1760円、1671円、3430円と、いずれも売り出し価格を上回った。売却益は震災の復興財源に充てられることになっており、上場後も段階的に売却して、2020年度までに4兆円を調達する方針。