「finance(金融)」と「technology(技術)」を組み合わせた造語で、情報技術(IT)を活用した金融の技術革新や新しい金融サービスの総称。明確な定義はないが、スマートフォンや人工知能(AI)、ビッグデータなどを使ったオンライン決済や融資、資産管理などを指す。また、関連する企業をフィンテック企業と呼ぶこともある。決済の分野では、事前登録したクレジットカードなどでオンライン決済ができるアメリカの決済サービス大手ペイパルや、スマートフォンに接続した簡易リーダーでカード決済ができるサービスを展開するアメリカのスクエア、中国のネットショッピング最大手タオバオ(淘宝)の全決済を手掛けるアリペイ(支付宝)などが代表的。仮想通貨のビットコインもフィンテックの一種といえる。ほかにも、中小企業や個人事業主と投資家を結びつける小口融資サービス(ソーシャルレンディング)や、スマートフォンで各種口座を管理できるサービス、モバイルやネットを介した個人間送金サービスなどの幅広い分野で、既存の金融機関が担ってきた機能をより手軽に利用できるサービスが広がっている。アップルやグーグルがスマートフォンでのモバイル決済サービスを始めるなど、他業種の企業やベンチャー企業が活発に参入しているのも特徴。フィンテック関連企業への投資は2014年に世界で1兆円を超えたといわれるが、日本では銀行法などによる規制が厳しく、環境整備が進んでこなかった。そこで15年12月、首相の諮問機関である金融審議会は、銀行がIT関連企業などに出資する際の規制緩和などを盛り込んだ報告書を作成。報告を踏まえ、金融庁は銀行法改正案を16年の国会に提出する方針としている。