政府が2016年8月2日の臨時閣議において決定した経済対策。働き方や産業構造、インフラ整備の一体改革を進めて成長力を底上げし、道半ばのアベノミクスのさらなる加速を図るのが狙い。事業規模は28兆1000億円で過去3番目、安倍政権の経済対策としては最大の規模となった。具体的な対策としては、安倍晋三政権が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた政策に3兆5000億円程度を充て、子育て・介護の受け皿整備を進めるほか、保育士の給与を17年度当初予算で2%引き上げる。また、育児休暇期間の延長など、仕事と育児の両立支援策の実現を図るとしている。このほか、返済不要の給付型奨学金の創設、低所得者約2200万人に対し1人当たり1万5000円を給付することなども盛り込んだ。さらには、依然として高止まりしている非正規社員の割合を減らすための対策として、同一労働同一賃金の実現などの労働制度改革にも取り組む方針。産業構造改革では、IoTや人工知能(AI)を使った創業、生産性向上の支援を図り、環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を見据えて、農林水産業の競争力強化などを進めていく。インフラ整備は事業規模10兆7000億円程度で、リニア中央新幹線の全線開通を最大8年前倒しするほか、外国人観光客4000万人時代に向けて、大型クルーズ船向けの港湾整備などのハード面と交通機関の多言語環境整備などのソフト面の両面から整合的、計画的な整備を推進していく。政府はこれらの対策の実施によって、国内総生産(GDP)を実質1.3%程度押し上げることが見込まれるとしている。