1年間に日本人や日本企業が国内外で得た所得の総額を示す経済指標。国内総生産(GDP)に、海外から得た利子、配当の純受取額を加えて算出する。経済のグローバル化が進み、海外に進出する企業や海外投資が増えたことから、国内の経済活動のみを対象とする国内総生産よりも実態に即した国の豊かさを表す指標とされる。1990年代まで使われていた国民総生産(GNP)と金額の上では変わらないが、日本では、国連が勧告した計算体系の「93SNA」を導入した2000年以降、生産(product)よりも所得(income)のほうが、より正確に捉えやすい概念だとして、国民総生産に代わって用いられるようになった。ただし、金額には企業の所得も含まれるため、1人あたりの国民総所得がそのまま、個人の所得を意味するわけではないという点に注意しておく必要がある。12年度の日本の名目国民総所得は490兆1730億円で、国民1人あたりでは384万5000円。13年6月に安倍晋三内閣が発表した成長戦略第3弾では、一連の経済政策を実行することで国民総所得を年3%以上伸ばし、10年後に1人あたりの金額を150万円以上増加させることが目標として打ち出された。