消費税率の引き上げにあたり、中小企業などが増税分を価格に転嫁(上乗せ)するように促す法律。正式名称は「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」で、2013年6月5日の参議院本会議で成立した。メディアによっては消費税還元セール禁止法、消費増税転嫁法などの表記も見られる。消費税率は14年4月に8%に、15年10月に10%に引き上げられる予定だが、その際に大手業者などが立場の弱い下請業者や納入業者に対して増税分の負担を強いることを防ぐのがねらい。17年3月末までの時限措置で、増税分の値上げの拒否や、不当に値下げを要求する買いたたきなどを禁じ、違反した企業に対しては公正取引委員会による支払い勧告や企業名の公表が行われる。増税分を価格に転嫁していないという印象を与える「消費税還元セール」などの表現も禁止される。ただし、消費税という文言を使わない「3%値下げ」や「春の生活応援セール」などの表現は認められる。また、中小企業が価格を転嫁しやすいよう、独占禁止法による規制も一部緩和し、複数の企業が申し合わせのうえで価格を引き上げる価格カルテルを条件つきで認める。価格表示の変更などが企業の負担になるのを避けるため、04年4月に導入された税込みの総額表示の義務も緩和し、期間内は税抜きの外税方式も容認される。