企業の業務執行に対する責任と権限を持つ経営幹部。2003年施行の改正商法(現・会社法)によって導入された執行役とは異なる。法律上の明確な規定がない社内的な役職であり、通常、経営戦略の決定や事業の監督を担当する取締役とは別に業務執行のみに専念する。取締役と兼務する場合を除き、取締役会の議決権を持たず、取締役会によって任命される。経営と執行の二つの機能を明確に区別するアメリカ型のコーポレートガバナンス(企業統治)の考え方に基づく制度であり、取締役会をスリム化して意思決定の迅速化を図り、業務が円滑に遂行されることを目的に設けられることが多い。日本では、1997年にソニー(本社・東京都港区)が、出井伸之社長(当時)による経営改革の一環として取り入れたのが最初で、以後、多くの企業が導入しているが、会社によって実際の制度運用には差がある。