自動車に設計上の欠陥などがあると疑われる場合に、欠陥の有無や原因の特定がなされていない段階でメーカーが自主的に製品を回収し、原因究明と無償修理を行う措置。道路運送車両法に基づく日本の自動車リコールでは通常、調査や実験などを経てメーカーが欠陥の原因を特定してから、国土交通省に届け出をしてリコールを実施する。ただし、原因の特定には時間がかかることが多いため、その間に重大な事故が発生したり、消費者に製品への不安が広がったりすることもある。そうした問題を未然に防ぐために実施されるのが調査リコールで、アメリカでは、メーカー運輸省の高速道路交通安全局ヘ自主的に調査リコールを届け出る制度が整備されている。回収後に原因が特定されれば、正式なリコールが実施される。2004年以降、日本の自動車部品メーカーであるタカタ(本社・東京都港区)が製造したエアバッグの一部で、金属片が飛散して運転者が死傷する事故がアメリカなどで断続的に発生。同社製エアバッグを採用した車種を販売するホンダ(本社・同)が、事故が多発したアメリカ南部地域で調査リコールを実施し、14年12月にはその対象地域を全米に拡大した。また、ホンダに続いてマツダ(本社・広島県安芸郡)もタカタ製エアバッグ搭載車の調査リコールを全米で実施。さらに同月には、ホンダが日本でも約13万5000台を対象に調査リコールを開始すると発表した。日本では調査リコールについて法律の定めがなく、国内では初めての実施となった。