政府が示す、その年の税制の基本方針。毎年12月に経済や社会の情勢を考慮して作成し、大綱に沿った税制改正法案を、翌年1月の通常国会に提出するのが通例となっている。第3次安倍晋三内閣による2015年度大綱は、与党の自民、公明両党の税制調査会が14年12月にまとめ、15年1月14日に閣議決定された。安倍内閣が政権の最重要課題と位置づけるデフレからの脱却と経済再生のために、景気刺激を重視した改正が目立ち、15年度は国と地方を合わせて約1423億円の減税となる見込み。柱となる法人税の改正では、14年度は34.62%だった実効税率(標準税率)を、15年度に2.51%引き下げて32.11%に、16年度に0.78%引き下げて31.33%にする。また、その後の数年で20%台を目指すとした。それにより税収が減るぶんは、事業規模などに応じて赤字企業にも課税する外形標準課税の対象拡大や、赤字を翌年度以降に繰り越して黒字と相殺する繰越控除の縮小などを段階的に進めて穴埋めするが、15~16年度は代替財源を確保できず、減税が増税を上回る先行減税となる。企業向けでは、給与を増やした企業の法人税優遇制度の拡充や、地方に本社を移転した企業に対する税制優遇措置も盛り込まれた。個人向けでは、親や祖父母が、子や孫に住宅、教育の資金を贈与する際の非課税枠を拡充。結婚、育児資金も対象とした。また、少額投資非課税制度(NISA)は、非課税の投資枠を年100万円から120万円に拡大するとともに、投資枠80万円の子ども版NISAを新設。自動車関連では、燃費性能に優れた車種で税負担を軽減するエコカー減税を、燃費基準を厳しくしたうえで延長し、新たに軽自動車も対象とした。