全国規模で電力需給の調整などを行う機関。略称は広域機関。2011年の東日本大震災後に電力不足になった地域と、余裕があった地域の電力会社間で電力融通がスムーズに行われなかったことを踏まえ、13年11月に成立した「電気事業法の一部を改正する法律」(改正電気事業法)で設立が定められた。14年8月に経済産業省の認可を受け、15年4月1日に認可法人として発足。全国の電力需給や発電所の運転状況を監視し、災害や電力消費の急増などで電力が不足する地域がある場合は、ほかの地域の電力会社に不足地域への送電や発電出力の増加を指示する権限を持つ。新規参入も含め、全ての電力事業者は加入が義務づけられ、指示に従わない事業者には制裁金を科す権限もある。また、平常時においても、電力事業者が提出する10年間の需給見通しや発電所建設計画を取りまとめるほか、地域をまたぐ送電網の整備や、東西で異なる周波数の変換設備増強なども行う。広域機関の設立は、電力制度の抜本的な改革として第2次安倍晋三内閣が進める電力システム改革の第1弾に位置づけられる。同改革では、第2弾として16年4月に実施される予定の電力小売り事業への参入の全面自由化、第3弾として20年4月に実施される予定の発送電分離が構想されている。