ノーベル賞6部門の一つで、経済学の分野で優れた業績があった人を顕彰する賞。2015年10月12日、選考元であるスウェーデン王立科学アカデミーは、同年の賞をアメリカのプリンストン大学のアンガス・ディートン教授(1945年10月19日、イギリス生まれ)に授与すると発表した。授賞理由は、消費や貧困、幸福についての分析。ディートン教授は1980年ごろに所得や物価が個人の消費行動に与える影響を分析するモデルを提唱し、増税や減税の経済への影響を測定する際などに広く活用されるようになった。その後、消費に関する研究をもとに途上国の貧困研究を手がけ、インドなどでの詳細な世帯調査を通して途上国の統計データ整備にも貢献した。また、2010年には所得の伸びと幸福度についての共同研究に参加し、アメリカで生活の満足感が上がるのは年収7万5000ドルまでとの調査結果を発表した。経済成長と人類の健康の関係を歴史的に分析した13年の著書「大脱出」は大きな反響を呼び、邦訳版(みすず書房刊)も14年10月に発売された。授賞式は15年12月10日にストックホルムで開かれ、賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億1200万円)が贈られる。なお、ノーベル経済学賞は、正式にはアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞という名称で、1968年にスウェーデン国立銀行が設立300周年の一環としてノーベル財団に働きかけて設立された。