全従業員の賃金水準である賃金表を企業の実績や物価の上昇に応じて改定し、賃金を上げること。年齢や勤続年数に応じて、毎年賃金が上がる定期昇給(定昇)とは異なる。年齢や勤続年数を横軸に、支給される賃金を縦軸にとったグラフを賃金カーブといい、おおむね右肩上がりの曲線を描く。定期昇給では、年齢を経るに従って、毎年個々の従業員の賃金は賃金カーブ上を一つずつ右へと上昇し、賃金が上がっていくが、従業員の年齢構成が変わらなければ、経営側が負担する賃金総額は変わらない。これに対して、ベアは賃金カーブ自体を上方に引き上げるため、残業代、ボーナス、退職金にも反映され、賃金総額が上昇する。企業にとっての負担が大きくなるため、不況が続くと経営側はベアを拒否するようになる。こうした経営側に対して毎年、春に労働組合が賃上げなどを要求して春闘(春季闘争)を行う。1991年のバブル崩壊以降、春闘で多くの企業がベア0回答を提示してきた。一方、2013年は第2次安倍晋三内閣のアベノミクスの影響などから、大企業で業績の回復が見られるほか、日本銀行が発表した2013年12月の企業短期経済観測調査(短観)でも、中小企業・非製造業の景況感が改善。14年4月から消費税8%への引き上げが決定したことから、14年度の春闘に向けて多くの労働組合がベア要求を掲げた。