アジア太平洋地域における貿易、投資の自由化および円滑化を進めるとともに、知的財産や電子商取引、環境など幅広い分野での新たなルールを決める包括的な経済連携協定。正式名は環太平洋経済連携協定。2015年10月、参加12カ国がアトランタ閣僚会合で大筋合意。16年2月4日に、12カ国の代表がニュージーランドのオークランドで協定文に署名した。日本からは、あっせん利得収賄疑惑により辞任した甘利明・前経済再生担当相に代わって高鳥修一内閣府副大臣が派遣され、署名を行った。協定は、参加12カ国すべてが2年以内に議会の承認などの国内手続きを終えれば、その60日後に発効する。2年以内に手続きが終了しなかった場合でも、12カ国の国内総生産(GDP)の85%を占める6カ国以上が手続きを終えた60日後に発効することとなっている。協定が発効すれば、世界のGDPの約40%を占める巨大な経済圏が誕生することとなる。発効には経済規模が大きいアメリカと日本での承認が欠かせないが、大統領選挙を控えるアメリカでは議会での早期審議入りが難しい見通し。日本政府は、16年3月上旬にもTPP承認案、関連法の改正案を国会に提出する予定だが、交渉を担ってきた甘利前大臣の辞任による国会審議への影響が懸念されている。こうした状況から、発効の実現は18年以降になるものと見られている。