ノーベル賞6部門の一つで、経済学の分野で優れた業績があった人を顕彰する賞。2014年10月13日、選考元のスウェーデン王立科学アカデミーは、同年の賞を、フランスのトゥールーズ第1大学のジャン・ティロール教授(1953年8月9日、フランス生まれ)に授与すると発表した。授賞理由は、“市場の力と規制に関する分析”。通信や鉄道、電力など、少数の企業が寡占する分野では市場原理が働かず、価格のつり上げや新規参入に対する妨害などの問題が起こりかねない。従来の研究では、政府によってカルテルの制限や上限価格の設定といった規制を導入することが有効とされてきた。それに対してティロール教授は、80年代初めから幅広い産業について、ゲーム理論や行動心理学に基づいた研究を重ね、画一的な規制では、逆に過剰な利益を上げる企業が現れるなどの弊害が出るケースもあると分析。そのうえで、各業界の実態に即した最適な規制のあり方を検証し、世界各国の規制政策に大きな影響を与えた。授賞式は2014年12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)が贈られる。なお、ノーベル経済学賞は、正式にはアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞という名称で、1968年にスウェーデン国立銀行が設立300周年の一環として、ノーベル財団に働きかけて設立された。