2014年5月15日に、安倍晋三首相の私的諮問機関、安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)が発表した報告書。日米安全保障体制の最も効果的な運用を含めた、安全保障の法的基盤について検討したもの。前回2008年の安保法制懇報告書では、憲法解釈上大きな制約がある四つの類型、(1)公海でのアメリカ艦の防護、(2)アメリカに向かう可能性のある弾道ミサイルの迎撃、(3)国際的な平和活動における武器使用、(4)PKOなどでの他国の後方支援、について検討。日本では憲法上の制約によって行使することができない集団的自衛権について、行使できるよう憲法解釈を変更すべきとの提言を行った。14年の報告書では、その4類型に加えて、武力攻撃には至らない侵害(グレーゾーン事態)への対応などについても検討。安全保障環境の変化を踏まえて、従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使、軍事的措置を伴う国連の集団安全保障措置への参加、国連PKOにおける駆けつけ警護などを可能にするため、法整備を進めるよう政府に求めた。集団的自衛権を行使する条件として、(1)密接な関係にある国への武力攻撃、(2)放置することで自国の安全に重大な影響がある、(3)当該国から明らかな要請がある、(4)首相の判断がある、(5)国会の承認を受ける、(6)自衛隊が通過する国の許可を得る、の6点を明記した。