集団的自衛権の行使や、戦争中の他国軍への後方支援など、日本の安全保障における自衛隊の活動について定めた法案の総称。第2次安倍晋三内閣時の2014年7月に集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を受けて、15年2月から与党の自由民主、公明両党が法制化の協議を開始。同年5月11日に与党間で最終合意に達し、同月14日に閣議決定、15日に国会に提出された。法案は、(1)自衛隊法、(2)国際平和協力法(PKO協力法)、(3)重要影響事態法(周辺事態法を改正)、(4)船舶検査活動法、(5)武力攻撃・存立危機事態法(武力攻撃事態法を改正)、(6)米軍等行動関連措置法(米軍行動関連措置法)、(7)特定公共施設利用法、(8)海上輸送規制法、(9)捕虜取扱い法、(10)国家安全保障会議(NSC)設置法の10法の改正案を束ねた平和安全法制整備法案と、新規法の国際平和支援法案からなる。重要影響事態法は、従来、自衛隊の活動範囲を日本周辺に限ってきた地理的制約を外し、後方支援の対象を米軍以外にも広げた。武力攻撃・存立危機事態法では、他国に対する武力攻撃であっても、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合を存立危機事態と定義し、集団的自衛権を行使できるとした。重要影響事態法と武力攻撃・存立危機事態法においては、国会の事前承認を原則とするが、緊急の場合は例外的に事後承認も可能としている。新たに設けられる国際平和支援法は、従来、他国軍を支援する自衛隊の海外派遣についてはその都度、特別措置法を制定してきたが、随時派遣できるように定めた恒久法。自衛隊の活動場所を「現に戦闘行為が行われている現場」以外とし、他国軍への弾薬提供などを新たに認めた。国際平和支援法による海外派遣に際しては、例外なく国会の事前承認が必要と定めた。一連の法案が成立すれば自衛隊の活動範囲が大きく広がることになり、日本の安全保障政策の転換点になる。安全保障関連法案に関しては、日本が戦争に巻き込まれる「戦争法案」「戦争立法」だとして反対の声も多い。