第二次世界大戦後70年を迎えるにあたり、2015年8月14日に安倍晋三首相が閣議決定に基づいて発表した総理大臣談話。議論の過程では個人的見解の談話とする案もあったが、公式な政府見解として閣議決定された。談話の作成にあたっては、安倍首相の私的諮問機関として15年2月に設置された「21世紀構想懇談会」が、たたき台となる報告書をまとめた。発表された談話は、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」という歴代政府の「不動の方針」をこれからも貫くと表明。戦後50年の1995年に発表された村山談話、戦後60年の2005年に発表された小泉談話を踏まえ、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表現してきました」とし、「こうした歴代内閣の立場は、今後も揺るぎない」と述べた。また、従軍慰安婦問題を念頭に「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」と戦時中の女性の被害についても言及。一方、「私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」との持論も主張した。過去の両談話と比較すると、「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「お詫び」という言葉は盛り込まれたが、引用など間接的な表現となり、また両談話と比べ3倍以上もの長さとなった。談話をめぐっては、アメリカ、オーストラリア、フィリピンなどの政府は歓迎する声明を発表。中国政府は「誠実におわびすべきだ」、韓国政府は「残念な部分が少なくない」としながらも、両国とも強い批判は避けた。