大阪市を廃止して五つの特別区に分割、再編することを柱とする大阪都構想の賛否を問う住民投票。正式名称は「特別区設置住民投票」で、2015年4月27日に告示、同年5月17日に投開票が行われた。都構想は、政令指定都市である大阪市と大阪府による二重行政の解消を主な目的として、地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹市長が府知事時代の10年に提唱。今回の住民投票は、12年に成立した大都市地域特別区設置法に基づいて、15年3月に大阪府議会と大阪市議会で承認された「特別区設置協定書」に対し、賛成、反対のいずれかで投票するもの。協定書では、小中学校教育や医療など身近な行政サービスは特別区が担い、インフラ整備などの広域行政は府に一元化するとした。投票が可能なのは、大阪市内の20歳以上の約211万人。賛否の呼びかけには公職選挙法が準用されるが、通常の選挙とは異なり、ビラやテレビCMに制限はなく、投票日当日でも活動ができる。開票結果は投票率にかかわらず法的拘束力を持ち、賛成票が反対票を1票でも上回れば17年4月の大阪市廃止と特別区の設置が決定。賛否同数か反対多数の場合は、大阪市存続と都構想制度案の廃案が決まる。都構想への賛成を呼びかける維新に対し、自民、公明、民主、共産各党の地方組織は、移行コストの高さや住民サービス低下の可能性などを理由に連携して反対活動を展開した。投開票の結果、賛成69万4844票、反対70万5585票となり、都構想は1万741票の僅差で否決。投票率は66.83%だった。これにより、大阪市の存続が決定し、橋下市長は任期が終了する15年12月で政界を引退する意向を表明した。