外国からの武力攻撃などを受けた際に発動する自衛権を行使するには至らないが、海上保安庁や自衛隊の治安出動、海上警備行動などの警察権では対応できない事態。2014年5月15日に、安倍晋三首相の私的諮問機関である安保法制懇報告書で例示されたケースでは、漁民を装った武装集団による離島の占拠、領海侵入して退去命令に応じない外国潜水艦、公海上で自衛隊艦艇が遭遇した外国の武装集団から不法行為を受けている自国の民間船の救援、などが該当するとしている。報告書では、こうした事態に対して、現行法では自衛隊の武器使用が大幅に制限されているため十分な対応が取れないこと、また自衛隊の出動には閣議決定などの手続きが必要となるため、事態に即応できない恐れもあることを指摘。それを受けて政府は、自衛隊が速やかに出動できるよう、手続きを簡素化することなどを検討し始めた。グレーゾーン事態で自衛隊が出動することにより、国際的な紛争に発展する危険が高まるとの批判もある。