2016年、政府が天皇の公務の負担軽減などについて議論を行うために設置した有識者会議。設置に先立ち、16年8月8日、天皇陛下が象徴天皇としての務めに関する考え方についてのビデオメッセージを公開した。メッセージでは、現行の皇室制度に触れることは控えながらも、身体の衰えなどから、これまでのように象徴としての務めを果たしていくことが難しくなるのではないかとの懸念を表明。生前退位の意向を強くにじませる内容となった。この「おことば」などを受け、同年9月、政府は有識者会議を設置することを発表。メンバーは、今井敬日本経済団体連合会(経団連)名誉会長、小幡純子上智大学大学院教授、清家篤慶應義塾長、御厨(みくりや)貴東京大学名誉教授、宮崎緑千葉商科大学国際教養学部長、山内昌之東京大学名誉教授の6人。退位の問題も含め、予断なく議論を進めていくとしている。16年10月に初の会合が開催され、自由討議や皇室制度などの説明が行われた。また、同会議の座長に今井敬、座長代理に御厨貴を選出した。今後は月2回程度、会合を開き、憲法や皇室制度などの専門家十数名からヒアリングを行う。ヒアリングのテーマは、(1)天皇の役割、(2)天皇の公務のあり方、(3)公務負担を軽減する方法、(4)摂政の設置、(5)国事行為の委任、(6)生前退位の是非、(7)退位を認める場合、恒久制度とするか、(8)退位後の天皇の身分や活動のあり方、の8項目。第2回以降の会合は非公開とし、発言者名を伏せた議事録をその都度公開する方針で、17年年明けには論点整理を公表し、春ごろをめどに政府に報告書を提出する予定。