第3次安倍晋三内閣が進める安全保障法制整備で、政府による恣意(しい)的な自衛隊の海外派遣防止を目的として検討されている三つの条件。これまで自衛隊が海外で他国軍隊の後方支援に当たる場合は、そのつど特別措置法を制定してきたが、自民党は新たに恒久法を制定することを目指している。これに対し、恒久法に慎重姿勢を示していた公明党が、与党協議の中で同条件を法案に盛り込むことを求め、2015年3月20日に自民党と与党合意に達したもの。同日発表された両党の共同文書「安全保障法制整備の具体的な方向性について」には、(1)自衛隊が参加し、実施する活動が国際法上の正当性を有すること、(2)国民の理解が得られるよう、国会の関与等の民主的統制が適切に確保されること、(3)参加する自衛隊員の安全の確保のための必要な措置を定めること、と明記された。ただし同文書では、(1)については国連安全保障理事会(安保理)の決議の有無や、(2)については国会の事前承認などが絶対的な条件とされておらず、具体的な法整備に向けては課題も残った。政府は合意を踏まえて法案の作成を進め、同年5月に国会に提出する方針としている。