衆議院議長の諮問機関として、衆議院議員の選挙制度に関する調査、検討を行う「衆議院選挙制度に関する調査会(報道では有識者調査会とも)」が、2016年1月14日に提出した答申。同調査会では、座長の佐々木毅元東京大学学長をはじめとした14人の有識者が、諮問があった14年9月11日より調査、検討を重ねてきた。衆議院選挙制度については、現行の小選挙区比例代表並立制を維持するとした一方、選挙区間の1票の格差(1票の不平等)の是正が喫緊の最重要課題であると指摘。衆議院議員の定数削減については10人減の465人とし、小選挙区選挙と比例代表選挙それぞれの定数は、小選挙区を7増13減で6人減の289人、比例代表を1増5減で4人減の176人とすることを提案した。1票の格差是正に関しては、小選挙区の選挙区間格差を2倍未満とし、「アダムズ方式」を導入して、人口比をより忠実に反映できるようにすることを求めた。アダムズ方式による各都道府県への議席配分は、都道府県の人口をある定数で割って、得られた数の小数点以下を切り上げて得られた数の合計が小選挙区選挙の定数と同じになるようにするもの。この方式によれば、10年の国勢調査を基にすると、現行で最大1.788倍の格差は1.621倍に縮小する。また、比例代表選挙は現行の11ブロックを維持し、各ブロックへの議席配分はアダムズ方式によって行うとした。議席配分の見直しについては、10年ごとの大規模国勢調査の結果に基づいて行うとしている。答申が示した小選挙区の10年の国勢調査に基づけば、7増13減となり、民主党と維新の党は答申の全面的な受け入れを表明。15年の簡易国勢調査に基づく9増15減を公明党が主張。自由民主党は、アダムズ方式の採用は20年の大規模国勢調査後とし、当面は区割り変更による0増6減を示すなど、割れている。共産党は定数削減に反対し、比例代表中心の制度にすることを求めている。