高校生が政治的なデモや集会、選挙活動などに参加すること。従来、未成年者の政治活動については、1960年代の安保闘争や大学紛争が高校生にも広がりを見せていたことを背景に、69年、文部省(当時)が「国家・社会は未成年者が政治的活動を行わないよう要請している」などとする通知を出し、校外の活動についても「望ましくない」としてきた。しかし、2015年6月成立の公職選挙法改正によって選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられたこと(18歳選挙権)に伴い、文部科学省は15年10月29日、都道府県教育委員会などにあてた新通知を公表し、同時に旧通知を廃止。新通知では、放課後や休日の校外における高校生の政治活動を、「家庭の理解の下、生徒が判断して行うもの」として容認した。ただし、校外であっても、学業に支障が出ると判断されれば禁止を含めた指導対象となり、違法・暴力的な活動は制限または禁止される。また、校内での政治活動は従来通り、部活動や生徒会活動の時も含めてすべて禁止されている。なお、各教育委員会では、政治活動にあたって、生徒の安全確保などを理由に高校への届け出制を導入するべきか、方針が分かれており、宮城県、茨城県、静岡県、愛知県、大阪府、大分県などの教育委員会は不要であるとの考えを示している。一方、愛媛県では、教育委員会から各校に対して届け出義務化を含む校則変更例が示され、県立高校全59校は16年4月から校則を変更し、事前届け出を義務化した。届け出制については批判の声が多くあり、高校生たちのグループ、T-nsSOWL(ティーンズソウル)では「主権者として認められるべき自由と権利をないがしろにする」などとして、インターネットなどで反対声明を公表している。