衆議院議員選挙における「一票の格差」是正と議員定数の削減を目的とした衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律。2016年4月28日の衆議院本会議で可決、5月20日の参議院本会議で可決、成立した。改正公職選挙法では15年の簡易国勢調査の結果に基づき、小選挙区の定数を「0増6減」、比例代表を「0増4減」する。小選挙区で削減の対象となるのは、青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で各1議席。比例代表は東北、北陸信越、近畿、九州の4ブロックで各1議席の削減となる。そのうえで、格差を2倍未満に抑えるため、小選挙区の区割りを見直す。この削減により、衆議院の議員定数は465議席となり戦後最少となった。見直し作業や周知に必要な期間を考慮すると、新定数での選挙が実施されるのは、17年後半からになると見られる。さらに、衆議院議員選挙区画定審議会設置法では、改革の第2段階として20年の国勢調査公表後に新しい定数配分のルールであるアダムズ方式を導入するとした。この方式では各都道府県の人口を同一の数字で割り、商の小数点以下を切り上げた数が定数となる。定数の合計が総定数と等しくなるよう、割る数字を調整する。従来の「1人別枠方式」と比べて、配分に人口比が反映されやすい特徴がある。実際にアダムズ方式による配分で選挙が実施されるのは22年以降の見通し。衆議院選挙における1票の格差を巡っては、09年、12年、14年の3回続けて最高裁判所が違憲状態との判断を出しており、衆議院議長の諮問機関「衆院選挙制度に関する調査会」が抜本的な格差是正策としてアダムズ方式の導入を答申していた。