国民一人ひとりに固有の番号(マイナンバー)を割り振り、納税や社会保障などの情報を一元的に管理することを目的とした「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」をはじめとする関連法のこと。2013年5月24日の参議院本会議で可決され、成立した。15年10月ごろから、全国民に対して12桁の個人番号が通知され、希望者には16年1月以降、顔写真つきの個人番号カードが配布される。同月からは社会保障、税、災害対応の3分野に限定して、制度の運用も開始。導入のメリットとして、従来は国や市町村、税務署、日本年金機構などが別々に管理していた情報を共通のマイナンバーで管理することで、事務の効率化や税の申告漏れ防止、社会保障給付の適正化などが期待できる点が挙げられる。国民の側も、一部の行政手続きで書類が不要になるほか、インターネット上に開設される個人専用のページ、マイ・ポータルで納税額などを確認できるようになる。一方、デメリットとしては、不正利用等を監視する第三者機関を設置し、違反者には4年以下の懲役または200万円以下の罰金を設けたものの情報漏出のリスクは避けられないこと、サラリーマン世帯の所得は把握しやすくなる一方、自営業者の所得がつかみにくい点は解消されないことなどが挙げられ、導入への批判は根強い。また、政府の見積もりでは導入に約2700億円、維持運営に年200億~300億円が必要とされ、その巨額の出費に対しても批判の声がある。同法律では当面の民間利用を禁じているが、18年ごろからマイナンバー利用の範囲拡大も検討するとしている。