地方の産業や雇用の創出を目的として、地域限定で規制緩和を進める制度。安倍内閣が重要課題と位置づける地方創生を実現するため、地域を区切って規制緩和を認める国家戦略特区の一環として、2014年12月に新設の方針が発表された。その後、政府は全国の自治体から提案を募集し、15年3月19日の国家戦略特区諮問会議で、第1弾として秋田県仙北市、宮城県仙台市、愛知県の3地域を指定した。仙北市は、市内の6割を占める国有林野を有効活用するため、放牧などの民間利用拡大を進めるほか、無人飛行機の一種であるドローンの実証実験にも取り組む。また、外国人医師が勤務できる医療機関の拡大や、温泉療養への公的医療保険適用を通じて、外国人観光客向けの医療ツーリズムを促進する。仙台市は、待機児童解消のために特区内限定の保育士資格を導入するほか、株式会社やNPO法人の設立手続きを簡素化して起業の拡大を目指すとしている。愛知県は、公立学校の運営の民間委託などによる人材育成を進める。政府は引き続き全国の自治体から提案を募り、15年内に第2弾を指定する予定。