日本政府が東西冷戦期の1960~70年代にアメリカ、イギリス、フランスから研究用に提供を受けていたプルトニウム及び高濃縮ウランの返還。日本原子力研究開発機構が、茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で保管していた。保管されていたプルトニウムの量は331キログラムで、核兵器40~50発分に相当。プルトニウムはウランに比べて核兵器への転用が容易であるにもかかわらず、日本での警備状況が緩く、テロリストなどの手に渡る危険性があるとアメリカ側が懸念。そのため、核の不拡散政策を重視するオバマ政権が日本に返還を求め、2014年3月、両国政府が返還に合意する共同声明を発表していた。16年3月21日、プルトニウムなどを輸送すると見られるイギリスの船が、茨城県東海村の港に到着。翌22日、アメリカに向けて出港した。300キログラム以上のプルトニウムを海上輸送するのは、日本の「あかつき丸」が、1993年に高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)で使用する約1トンのプルトニウムをフランスから運んで以来。なお日本は2014年時点で、国内で約10.8トン、イギリスとフランスの再処理施設に約37トン、計約47.8トンのプルトニウムを所有しており、民生用プルトニウムは世界でイギリス、フランス、ロシア、アメリカに次ぐ量である。