高齢者が健康なうちに東京などから地方に移り住み、地域住民などと交流しながら暮らし、必要に応じて医療、介護を受けることができる地域共同体の構想。「CCRC」は「Continuing Care Retirement Community(継続的なケア付きリタイア共同体)」の略で、1970年ごろからアメリカで普及が進んだ。高齢者は生涯学習やボランティア活動、多世代との交流などをしながら、健康時から要介護時まで移転することなく継続的なケアを受ける。2015年時点で全米に約2000カ所存在し、居住者数は推定75万人。こうしたアメリカの取り組みをモデルとした日本版の構想は14年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に盛り込まれ、決定に基づき15年2月に日本版CCRC構想有識者会議が発足した。同会議は15年8月に構想の中間報告を発表。共同体の正式名称を「生涯活躍のまち」とし、地方移住を希望する東京圏など都市部の高齢者を後押しするとともに、地方活性化を目指すとした。また急速に高齢化が進む東京圏の医療、介護サービス不足への対応にもなるとしている。中間報告では、移住を受け入れる地方自治体が地方版総合戦略に構想を盛り込んだうえで、地域の実情に即した基本計画を策定することを要求。地方自治体は基本計画について国と調整し、民間企業など運営事業者を選定する。同会議が15年内に最終報告をまとめ、政府が15年度内に先行するモデル事業を開始する予定。