海上保安庁において、特に危険で難易度の高い海難事故の救助活動などを専門的に行う部隊の通称。略称は特救隊。同庁の第3管区海上保安本部(横浜市)に所属し、危険物を積載した船舶の火災消火や、転覆、沈没船からの救出、ヘリコプターでのつり上げ救助など、高度で専門的な知識、技能を要する全国各地の特殊海難に対応する。1974年11月に東京湾で発生し33人の死者を出したタンカーと貨物船の衝突炎上事故をきっかけに、75年10月に隊員5人体制で発足し、翌76年に初出動した。その後、組織の強化が図られ、86年、羽田空港内に第3管区海上保安本部羽田特殊救難基地が設置されて以降は同基地を拠点とする。2015年10月時点で、1隊あたり6人の6隊体制、計36人が所属。隊員は同庁の潜水士の中から体力、技能に秀でた者が選抜され、1隊に1人、救急救命士の有資格者を擁している。国内での救助活動のほか、04年のインドネシア・スマトラ島沖大地震の被災地に派遣されるなど、国際緊急援助隊として活動することもある。海上保安官による海難事故救助を描いた映画「海猿」シリーズの12年公開作「BRAVE HEARTS 海猿」でも、主人公が所属する部隊として取り上げられた。