一票の格差(一票の不平等)が最大2.13倍だった2014年12月の衆議院議員選挙小選挙区の定数配分をめぐる17件の訴訟の上告審で、最高裁判所が示した判決。同選挙終了後、二つの弁護士グループが、憲法が定める投票価値の平等に反しているとして、295の全選挙区について各地の選挙管理委員会を相手に選挙無効を訴えて提訴していた。14年衆院選では、各都道府県にまず1議席を配分し、残りを人口比で割り振る1人別枠方式の規定を削除。小選挙区定数も「0増5減」されたが、宮城5区と東京1区の格差が2.13倍になるなど、13の選挙区で格差2倍以上になった。訴訟を受けて各高裁、高裁支部が15年3~4月に下した判断は、17件の訴訟のうち、違憲にまでは至らない違憲状態とするものが12件、合憲が4件、違憲1件と分かれた。上告審の結果、最高裁大法廷は15年11月25日、「0増5減」の対象外の都道府県では定数が見直されておらず、小選挙区の区割りが不平等状態にあると述べ、違憲状態とする統一判断を示した。一方で、「0増5減」など国会の取り組みについては一定の理解を示したうえで、是正のための合理的な期間が過ぎていないとして違憲とは判断せず、選挙無効の請求を退けた。審理に携わった裁判官14人の判断は、違憲状態が9人、違憲が3人(うち2人が選挙の無効を指摘)、合憲が2人と分かれた。衆院選の一票の格差が違憲状態とされたのは、09年衆院選、12年衆院選に続いて3回連続となり、格差是正のための抜本的な改革が求められている。