国会議員や地方公共団体の長、その秘書などが、公務員に対する口利きをした見返りとして対価を受け取ることを禁止した法律。正式名称は「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律」で、2000年6月に中尾栄一元建設大臣が受託収賄罪で逮捕、起訴されたことをきっかけに、同年11月に制定され、01年3月に施行された。対象となるのは、国会議員、地方自治体の首長と議員、その公設秘書、私設秘書。(1)国または地方公共団体による売買、貸借、請負その他の契約、(2)国または地方公共団体が資本金の2分の1以上を出資している法人による売買、貸借、請負その他の契約、(3)特定の者に対する行政庁の処分、の三つに関して、請託を受けて影響力を行使し、公務員や上記の法人職員に職務上の行為をさせたり、させないようにしたりすることで報酬として財産上の利益を得た場合に罰される。公職者は3年以下の懲役と利益没収、秘書は2年以下の懲役と利益没収。利益を受けた者は1年以下の懲役か、250万円以下の罰金を科される。なお、刑法第197条の4に、公務員全般を対象とするあっせん収賄の罪が規定されているが、他の公務員に不正行為をさせる(またはするべき行為をさせない)ことが要件となっている点で、不正の有無にかかわらず、口利きによる利益の享受だけで罪を問われるあっせん利得処罰法とは異なる。ただし、それぞれの法律が定める要件を満たせば、同一の行為でも両方の罪が成立する可能性がある。16年1月、甘利明前経済再生担当大臣および秘書が、13~16年に千葉県の建設会社と都市再生機構(UR)の間の補償交渉の口利きの報酬として、同社から約1200万円の金銭授受や接待を受けたと報じられ、同法違反の可能性があると指摘されている。