日本の安全保障に関する、防衛、外交、スパイ活動の防止、テロの防止のうち、「特に秘匿を必要とするもの」を「特定秘密」に指定し、取扱者の制限や漏えいした場合の罰則を定める法律案。2013年10月25日、安倍晋三内閣が閣議決定した。同法案によれば、特定秘密の指定は行政機関の長が行う。指定された特定秘密の取扱者は、行政機関の職員、契約業者の役職員、都道府県警察の職員に限り、適性評価を行った上で選定する。特定秘密の有効期間は5年以内とされ、期間満了時には、さらに5年以内で延長できる。特定秘密を漏えいした場合は、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金。一方、特定秘密を得るために、欺き、暴行、脅迫、不正アクセスなどの行為をした場合、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金。また、特定秘密の漏えいをめぐって共謀したり、そそのかしたり、扇動した場合は5年以下の懲役としている。機密情報漏えいの罰則規定は、国家公務員法の1年以下の懲役、自衛隊法の5年以下の懲役に比べて、格段に重いもの。同法案には、報道の自由など、国民の「知る権利」に十分配慮するなどの条文が盛り込まれているが、特定秘密の指定理由や期間延長の妥当性などが検証できないことから、政府内の違法行為などが秘匿されるおそれや、取材行動が制限される可能性があり、「知る権利」の侵害になるとの批判がある。