日米安全保障条約(日米安保)に基づく自衛隊と米軍の協力や役割分担について定めた指針。日米ガイドラインと呼ばれることも多い。東西冷戦下の1978年に旧ソ連の日本侵攻を想定して策定され、冷戦後の97年、朝鮮半島における有事など日本の周辺事態に備える目的で改定された。近年、中国による海洋進出が活発化していることや、宇宙、サイバー空間での防衛の必要性の高まったことなどを理由に、日米両政府は再改定することで2013年秋に合意。見直しの作業を進め、15年4月27日にニューヨークで開催された外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で18年ぶりに改定された。改定後の指針では、従来の「平時」「日本有事」「周辺事態」の分類を改めて、「平時」「日本の平和及び安全に対して発生する脅威」「日本に対する武力攻撃」「日本以外の国に対する武力攻撃」「日本における大規模災害」の5分野に再編。平時から緊急事態まで切れ目なく協力する方針を打ち出し、武力攻撃には至らないグレーゾーン事態を含め対応を強化するとした。日本への武力攻撃への対応では、尖閣諸島などを念頭に、島しょ部での上陸阻止や奪還への米軍の支援も盛り込まれた。また、日本の平和、安全への脅威については、「地理的に定めることはできない」と明記し、南シナ海や中東など日本周辺以外の地域でも米軍への後方支援などができるとした。日本以外の国への武力攻撃では、集団的自衛権の行使を想定し、米軍艦船の防護やシーレーン(海上交通路)での機雷掃海などを例示した。そのほか、5分野とは別に、国際的な平和維持活動などに関する「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」と、「宇宙及びサイバー空間に関する協力」の項目も設けられた。