酒税法は酒類の分類や税率、製造免許、販売免許などについて定めた法律。酒類業組合法は酒税の確保や酒類取引の安定を図るための法律で、正式名称は「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」。これらの一部を改正する法案が、2016年5月12日に衆議院本会議を通過し、同月27日の参議院本会議で可決、成立した。改正では主に、量販店などによる酒類の過度な安売りに歯止めをかけ、中小の酒販店を過当競争から守ることが狙いとされている。財務大臣は、製造業者、販売業者の価格の決め方などに関する取引基準を定め、違反したメーカーや店の名前を公表したり是正命令を出したりすることができる。命令に従わずに安売りを続けた場合、罰金や免許の取り消し処分が科される。酒類の販売を巡っては1990年代から規制緩和が進み、スーパーやコンビニ、ディスカウントストアなどでの販売が拡大。競争が激化したことで、2013年度の一般酒販店の数は1995年度に比べて4割以上も減少している。安売りの規制に関しては国税庁が指針を示してきたが法的拘束力はなかった。罰則を伴う改正法の成立で規制が強化されることになったが、販売業者の過度な萎縮や消費者の不利益につながる可能性があることが指摘されている。