日本政府による対外援助政策の理念や基本方針、重点課題などをまとめた文書。政府開発援助(ODA)についての理念や原則を定め、1992年6月に閣議決定(2003年8月改定)された政府開発援助大綱(ODA大綱)を改定、改名する形でまとめられた。15年中に閣議決定される予定。開発途上国への非軍事的協力による平和と繁栄への貢献など、従来のODA大綱の基本方針を引き継ぎつつ、安倍晋三内閣が掲げる「積極的平和主義」に基づいた国際協力や、日本の国益につながる外交戦略としての視点を盛り込んでいるのが特徴。旧大綱からの大きな変更点は、これまで認められなかった他国軍への支援についてで、援助相手国の軍や軍関係者が関わる場合には「実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」という文言を実施原則に加えたうえで、災害救助などの非軍事目的に限り、支援が可能となった。そのほか、支援の際の重点課題として、「質の高い成長」を通じた貧困の撲滅を掲げ、一定の経済成長を達成した国や島しょ国の課題解決に向けても積極的に取り組むとした。また、自由や民主主義、基本的人権の尊重、法の支配などの「普遍的価値の共有」も重点課題に挙げられた。