日本政府がイギリスのEU離脱(Brexit)に関して、経済的な要望などをまとめた文書。2016年9月2日、政府の対応を検討する「英国のEU離脱に関する政府タスクフォース」の第3回会合で採択され、首相官邸と外務省のホームページに掲載された。同メッセージでは、日本と基本的価値を共有するイギリス・EUとはさまざまな分野で強固な協力関係にあることから、国際の平和、安定、繁栄のために引き続き緊密に連携・協力していきたいとしたうえで、経済面の不確実性に対する懸念を表明。特に日本企業がヨーロッパへの玄関口とみなして多数進出し、積極的な投資を行ってきたイギリスに対しては、企業に対する悪影響を最小化するよう、責任ある対応を強く要望した。具体的には、従来と変わらない自由な経済活動ができるように要望事項を列挙。イギリス・EU双方への要望事項は、(1)現行の関税率や通関手続等の維持、(2)金融単一免許制度を含む金融サービスの提供・設立・開業に関する自由の維持、(3)国境を越えた投資・サービスやグループ企業間を含む資金移動の自由の維持、(4)イギリス・EU間の規制・基準の維持、などを挙げた。イギリスのみへの追加事項としては、(1)関税や税関手続等の負担のない物品貿易の自由、(2)外資参入にかかる基本政策の維持、(3)投資促進策の実施、(4)イギリスの独自規制・基準とEUの規制・基準との整合性の確保などを挙げ、EUのみへの追加事項としては、単一免許制度にかかる経過措置等の導入を挙げている。