2016年8月8日、天皇陛下が象徴天皇としての務めに関する考え方をビデオメッセージで国民に語りかけたおことば。これに先立つ7月13日、天皇陛下が5年ほど前から、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る生前退位の意向を周囲に示していたことが報道された。これを受ける形で、ビデオメッセージでお気持ちを表明することとなったもの。おことばは、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながらも、「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」との懸念を表明。生前退位の意向を強くにじませる内容となった。また、天皇の高齢化に伴う負担軽減については、「国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことは、無理があろうと思われます」と否定的な考えを述べられた。さらに、天皇が未成年であるか、重い病気などで国事行為を行えない場合に置かれる摂政の制度については、「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません」として、望ましくない旨の考えを示された。そのうえで、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」、国民の理解が得られることを切に願うとのお気持ちを述べた。政府や国会では、天皇陛下のおことばを重く受け止め、生前退位の実現を含めた議論を行っていくとしている。