陸上自衛隊が、毎年8月ごろに東富士演習場(静岡県御殿場市)で実施する大規模な軍事演習。「総火演(そうかえん)」と略されて呼ばれることが多い。1961年、普通科部(歩兵)、特科部(砲兵)、機甲科部(戦車・偵察)の学生教育を担う陸上自衛隊富士学校が、火力戦闘の認識など育成教育の一環として始めた「総合展示演習」が始まり。66年から一般公開され、72年に「富士総合火力演習」と名称を改めた。演習は午前の前段と午後からの後段とに分かれる。前段では近距離から遠距離までの榴弾砲、迫撃砲、戦車など、個々の火力の実弾射撃訓練が行われ、後段では防御訓練やテーマに沿った作戦行動による攻撃訓練が行われる。2013年8月25日に行われた演習のテーマは、前年に続き敵部隊の離島侵攻を想定した「島嶼(とうしょ)防衛」。人員約2300人、戦車・装甲車約90両が投入され、海上自衛隊のP3C哨戒機も参加した。一般公開は、戦車や火砲の実弾射撃を間近で見られることから参観希望の人気が高く、毎年一般公開日の入場券に応募が殺到する。13年は戦車で戦う女子高生を描いたアニメ「ガールズ&パンツァー」(ガルパン)で戦車人気が高まったこともあって、応募の倍率は前年の14.8倍から19.7倍に急増した。