日本の安全保障に関する機密情報の取り扱いの制限や、情報漏えいに対する罰則などを定めた特定秘密保護法において、特定秘密に指定された情報を扱う者に漏えいの恐れがないかを調査、評価する制度。同法が施行された2014年12月から1年後までをめどに、行政機関の長や都道府県の警察本部長などが評価対象者の名簿を作成し、順次、調査を実施する。対象者には、特定秘密を取り扱う行政機関職員や警察職員などに加え、防衛機器メーカーなど、行政機関との契約により秘密を扱う業務に従事する民間事業者も含まれる。ただし、首相や閣僚、副大臣、政務官などは、選挙や首相による任命といった手続きを経ていることを理由として、適性評価の対象外とされる。調査されるのは、(1)テロ活動などとの関わり、(2)犯罪歴、懲戒歴、(3)情報の取り扱いに関する規則違反などの経歴、(4)違法薬物の所持や使用、(5)精神疾患、(6)飲酒によるトラブル、(7)借金などの経済状況、の7項目や、配偶者、親、子などの国籍、住所、生年月日。こうした事項について、対象者の同意のもと、本人が記入・提出した質問票を基本として、必要に応じて上司や同僚への質問、行政機関や病院の記録との照合などを行い、実施者が総合的に評価して特定秘密の扱いの可否を判断するとしている。結果は対象者に通知され、それに対して対象者が書面で苦情を申し立てることができる。また、評価から5年が経過した対象者や、評価後に情報を漏えいする疑いが生じた対象者は、再度適性評価される。この制度に対しては、プライバシーの侵害や、思想、精神疾患による差別の助長などにつながる恐れがあるとして、弁護士や精神科医などから批判の声が上がっている。