第3次安倍晋三内閣が経済、財政運営の基本方針を示した文書。正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針2016」で、内閣府の経済財政諮問会議がとりまとめ、2016年6月2日に閣議決定された。副題は「600兆円経済への道筋」。方針ではまず、世界経済の下方リスクが高まっており、国内経済も個人消費や設備投資に力強さを欠いていると指摘し、その背景にある人口減少、高齢化などの構造的課題を解消する取り組みによって需要を拡大することが重要と分析した。一億総活躍の考えのもと、新たな需要と供給を喚起することが、国内総生産(GDP)600兆円の実現に向けた道筋とした。具体策としては、全国規模のセールスイベントの実施などで消費マインドを喚起するとしている。また、2045年とされていたリニア中央新幹線の大阪延伸の前倒し整備に向け、財政投融資を活用する方針も示した。当初、17年4月に予定されていた消費税の10%への引き上げは、19年10月まで2年半延期すると明記した。同時に、20年度に基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化するという目標は堅持するとしたが、消費増税に代わる具体的な財源は提示されておらず財政収支の改善ができるのか疑問視する声も多い。