日本の安全保障に関する機密情報を故意に漏らした公務員などを罰する特定秘密保護法の運用において、特定秘密の指定や解除のルール、監視体制を定めた基準。同法は2013年12月に成立し、その後、有識者でつくる情報保全諮問会議(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ会長)と政府が運用基準を検討。14年10月14日にその内容が閣議決定された。これにより、同法及び運用基準は14年12月10日から施行される。特定秘密の指定の対象となるのは、防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の4分野55項目。国家安全保障会議、内閣官房、原子力規制委員会、防衛省、外務省など19の行政機関の長が指定の権限を持つ。指定が適切かどうかは、内閣府に新設される独立公文書管理監や内閣官房に設置される内閣保全監視委員会、衆参両院の情報監視審査会が監視し、不適切と判断した場合には指定の解除を求めることができるが、強制力は持たない。また、指定権限を持つ各機関には内部告発の通報窓口を設ける、とした。指定期間は原則30年とするが、内閣の承認があれば延長することが可能となる。こうした基準の策定にあたって、政府は14年7~8月に一般国民からパブリックコメントを公募した。制度への懸念や反対論を含む2万3820件の意見が寄せられ、国民の関心の高さを示したが、素案に対する修正は一部にとどまった。運用基準では「国民の知る権利を十分尊重する」と明記し、施行の5年後に運用基準を見直すとした。ただ、政府による恣意的な運用拡大のおそれや、監視機関の独立性の低さ、権限の弱さなどを懸念する声も強い。