北朝鮮の深刻な人権侵害の調査を行う国連の委員会。2013年3月に日本と欧州連合(EU)が国連人権理事会に共同提出した北朝鮮人権状況決議案によって設立された。委員長に元オーストラリア最高裁判事、マイケル・ドナルド・カービー、委員にインドネシアの元検事総長、マルズキ・ダルスマン、セルビアの人権NGO活動家、ソニア・ビセルコが任命された。任期は1年。調査は北朝鮮が国内調査を拒否したため、東京やソウル、ロンドンなどで開かれた公聴会を通じて、拉致被害者家族や脱北者などの証言を1年間にわたって収集。14年2月17日、372ページに及ぶ最終報告書にまとめられ、公表された。同報告書は強制収容所の拷問や公開処刑などの実態、殺人、誘拐・拉致、性的暴力、政策によってもたらされた飢餓、自由の抑圧や差別などを列挙し、北朝鮮政府による組織的な人権侵害を告発。日本人を含む外国人拉致が最高指導者の承認の下で実行され、金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記が認識していたことも明記した。同調査委員会は北朝鮮の「人道に対する罪」を非難し、広範な人権侵害を裁くため、国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう国連安全保障理事会に対して勧告。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に送った書簡も公開され、金氏の責任が追及される可能性もあると指摘した。