イスラム教スンニ派の過激派武装組織。シリア北部のラッカを拠点に、勢力範囲を隣接するイラクにまで広げ、イラク・シリアのイスラム国(ISIS)、と名乗っていた(報道によってはイラク・レバントのイスラム国〈ISIL〉とも表記される)。2014年6月29日、シリア北部のアレッポからイラク中部のディヤラまでをイスラム国とする国家樹立を一方的に宣言し、現在の名称に改称した。また、同組織の最高指導者のアブバクル・バグダディを、イスラム教の開祖ムハンマドの後継者を意味するカリフに任命。世界中のイスラム教徒に向けて、バグダディをカリフとして認め、忠誠を誓うよう求めた。同年7月以降、シリアではイラク国境に近い東部をほぼ制圧し、イラクでは支配地域を同国の3分の1にまで拡大した。同年8月16日、シリア北部で拘束した日本人男性を尋問する動画を、19日にはアメリカ人ジャーナリストの男性を処刑する動画をインターネットで公開し、世界中に衝撃を与えた。イラクでは、同年8月14日、シーア派に偏った政策によって宗派間の対立を悪化させ、同組織のイラク国内進撃を招いたと批判されていた同国のマリキ首相が退陣を表明。次期首相候補に指名されたアバディ連邦議会副議長のもとで、シーア派、スンニ派、クルド人の3勢力による挙国一致体制が期待されている。