アメリカのバラク・オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が2015年4月11日に行った非公式の首脳会談。北米と中南米カリブ諸国が集う第7回米州首脳会議が開かれたパナマで行われた。1959年チェ・ゲバラとフィデル・カストロが親米政権を倒したキューバ革命により61年に両国は国交を断絶。その後キューバは社会主義国家としてソ連側陣営の一員となりアメリカと激しく対立した。東西冷戦の中、62年にはキューバにソ連の核ミサイルが配備されて核戦争への緊張が一挙に高まった「キューバ危機」が勃発。82年アメリカがキューバをテロ支援国家に指定。キューバに対する経済制裁を続け、首脳会談は半世紀以上にわたって開かれてこなかった。しかし、2014年12月17日にオバマ大統領が国交正常化交渉を開始すると発表。同日、カストロ議長も交渉について同意したと発表し、15年1月から両国高官による協議が始められていた。59年ぶりに実現した首脳会談では、早期に国交を回復し、互いの大使館の開設に向けて努力することで両首脳が一致。また、オバマ大統領はテロ支援国家指定について解除する方針であることを伝え、カストロ議長はキューバへの経済制裁の解除も求めた。しかし、国交正常化までには、(1)キューバが求める経済制裁の全面解除には共和党が多数を占めるアメリカ議会の承認が必要なこと、(2)アメリカが求める人権問題改善についてキューバ側の反発が強いこと、(3)アメリカがキューバから租借しているグアンタナモ基地の返還問題など、両国間で解決すべき課題は少なくない。