第二次世界大戦における旧日本軍の従軍慰安婦問題に対し、2015年12月28日に日韓両政府が至った合意に基づき、韓国政府が元慰安婦の支援のために16年7月28日に設立した財団。理事長には、財団設立準備委員会の委員長を務めた金兌玄(キム・テヒョン)誠信女子大学名誉教授が就任した。理事には、学者や元外交官、弁護士や政府関係者ら10人が就任する。日本政府は8月24日、同財団の事業として、元慰安婦1人当たり1億ウォン(約1000万円)を支出することで韓国側と合意したと発表し、同日に10億円を拠出することを閣議決定した。財源には、16年度予算の予備費を充てる。一方、11年にソウルの日本大使館前に設置された、慰安婦問題を象徴する少女像について日本政府が撤去を求めていたことに対し、韓国政府は日韓合意の際に「適切に解決されるよう努力する」と表明していたが、像を設置した元慰安婦の支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」が、合意そのものや財団設立に強く反対していることから、撤去のめどは立っていない。日本政府は、韓国側に対して引き続き少女像撤去への努力を促す意向。財団の設立に対しては、当事者である元慰安婦の意見が反映されていない、などの理由から韓国内で反発も多く、金理事長が財団発足を発表した際には、抗議する大学生ら約10人が記者会見場に乱入した。また、元閣僚らが、別の団体を設立するといった動きもある。