アメリカ各州に設置されている軍事組織。陸軍州兵と空軍州兵とがある。主な役割は、国内の治安維持や災害を含めた緊急事態への対処、海外での軍事作戦への参加など。建国当初から存在した民兵組織が基となっており、「1916年国防法」により制度として発足した。連邦軍の予備兵力に位置づけられている。平時には州知事を最高司令官として自然災害の救援や暴動の鎮圧などを行い、戦時には連邦軍に編入されて大統領の指揮下に入る。連邦軍兵士とは異なり、普段は別の職業を持ち、毎年2週間の訓練義務が課せられている。2001年の国防報告によれば、人員は陸、空軍を合わせて50万人を超える。白人警官による黒人青年集団暴行事件に端を発する、1992年4~5月のロサンゼルス暴動では、鎮圧のために約1万人が動員された。2001年9月11日の同時多発テロ以降、テロとの戦いでは、アメリカ本土と海外への展開を合わせて約5万人が動員された。14年8月9日には、ミズーリ州ファーガソンで白人警官による黒人青年射殺事件が発生。事件に抗議するデモ隊の一部が暴徒化したため、治安回復を目的にミズーリ州兵が投入された。