中国の習近平国家主席が掲げる経済・外交構想。現代版シルクロード経済圏の構築を目指すもので、中国から中央アジアを経て欧州までを陸路で結ぶ「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部からインド洋、アフリカ、中東を経て欧州に至る海上交通路「21世紀の海のシルクロード」(一路)から成る。シルクロード経済ベルトについては習主席が2013年9月にカザフスタンを訪問した際に、海のシルクロードについては同年10月にインドネシアを訪問した際に、初めて構想として打ち出された。その後、習主席は14年11月に中国で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場で、各国に一帯一路構想をアピールした。(1)近隣諸国へのインフラ投資を拡大させて中国国内の生産過剰と内需不足の解消を図ること、(2)中国最大の貿易相手である欧州との間にある諸地域に対し、影響力を強めること、(3)中東や中央アジアからの資源輸入ルートをより安定させること、(4)域内各国との連携や貿易の拡大で世界経済の成長をリードし、国際社会における存在感を強めること、などが狙いとされる。中国政府は構想の実現に向け、同国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備を進めており、15年内の開業を目指している。また、対象地域の交通網や情報網などのインフラ整備を支援するためにシルクロード基金も創設。当初の規模は100億ドル(約1兆1450億円)で、最終的には400億ドル(約4兆5800億円)規模を見込んでいる。