イギリス北部、スコットランド地方の独立の是非をめぐり、2014年9月18日に行われた住民投票。スコットランドはもともと独立した国だったが、1707年、ブリテン島南部のイングランドに事実上吸収される形で併合された歴史を持つ。併合後も自治や独立を求める動きは断続的に起こり、1960年代にスコットランド沖合で北海油田の開発が本格化したこと、80年代にイギリス政府の政策によって失業者が急増したことなどから、イギリスからの独立を求める声はさらに強まった。イギリス政府と交渉を重ねた結果、99年にはスコットランド議会が復活し、一定の自治権限を委譲された。2011年の同議会選挙ではスコットランド独立を訴えるスコットランド民族党(スコットランド国民党)が単独過半数を獲得。翌12年に、スコットランド行政府とイギリス政府は、独立の是非を問う住民投票を実施することで合意した。当初、独立賛成派は少数と見られていたが、投票直前の14年9月になると世論調査などで賛成派が急伸。北海油田の税収などを財源にした社会福祉の充実を掲げて支持を集めた独立賛成派に対し、イギリス政府のデービッド・キャメロン首相らは自治権の大幅な拡大などを約束して連合の維持を訴え、スコットランド世論は大きく二分されることになった。この住民投票では、イギリス、イギリス連邦、欧州連合(EU)加盟国のいずれかの国籍を持つ、16歳以上のスコットランド住民に投票権があり、有権者数は約428万人。投票の結果、投票率84.6%、賛成44.7%(161万7989票)に対し、反対55.3%(200万1926票)となり、独立反対派が過半数を獲得して独立は否決された。しかし、当初の予想以上に独立の機運が高まったことは、イギリスにおける地方自治のあり方や、他のヨーロッパ諸国における分離、独立の動きにも影響を与えるのではないかといわれている。