アメリカ合衆国の大統領が連邦議会に対して提出する、当面の経済情勢に関する判断を示す報告書。一般に、予算案の提出後10日以内に、大統領経済諮問委員会(CEA)の年次報告とともに提出される。経済教書ともいい、年頭に大統領が連邦議会に対して向こう1年の施政方針を提示する一般教書、2月に同じく連邦議会に対して予算編成の方針などを提示する予算教書とともに、三大教書と呼ばれている。オバマ大統領は2016年2月22日、連邦議会に16年の経済報告を提出した。報告では、世界経済が予想以上に減速したと指摘。アメリカ経済は、2008年に起きたリーマン・ショック後の景気回復が7年目に入り、個人消費や企業の設備投資が堅調なことから、16年も2.7%の成長率を維持すると予測した。ただし、世界的な株安や原油安により、アメリカ経済にも下振れリスクが増しており、中国やブラジル、ロシアなどの新興国に加え、カナダなどの先進国にも減速リスクがあるとの懸念を表明。所得格差などの不平等が成長の足かせになるとして、教育機会の拡大、産業振興などを行い、成長の促進に取り組むべきだと主張した。